弁護士に事件処理を依頼する場合の費用についてご説明いたします。
 弁護士が依頼を受けるときには、最初に着手金をお支払いいただいています。
 この着手金の額は、事件の種類、状況等により、経済的利益を基準に、弁護士会の規程で定められています。ご請求はその範囲内でさせていただくことになりますが、着手金は事件の結果にかかわらず返還はされません。
 事件が終了した場合には、報酬金をお支払いいただきます。
 報酬金の額についても、弁護士会の規程で、事件の種類、結果の内容等により定められており、その範囲内でご請求させていただきます。
 なお、日当実費(印紙・切手代・コピー代・通信費等)・交通費等は別途申し受ける場合があります。また、着手金及び報酬金には別途消費税がかかります。
 横浜弁護士会の報酬規程によると、以下のような例になりますが、具体的な金額については、ご相談の上で決めさせていただきます。なお、経済的利益が算定できる場合は、下の表に基づいて算出されます。但し、事件の内容により30%の範囲で増減額することができます。
・着手金と報酬金 着手金最低10万円
  経済的利益 着手金 報酬金
(1) 〜300万円 8% 16%
(2) 300万円超〜3000万円 5%+9万円 10%+18万円
(3) 3000万円超〜3億円 3%+69万円 6%+138万円
(4) 3億円超 2%+369万円 4%+738万円
●交通事故に遭って損害賠償を請求する場合
この場合の経済的な利益は、基本的には損害賠償請求金額になります。
【2000万円の損害賠償請求の場合】
・着手金 109万円
・報酬金 218万円
●建物からの立ち退きを求める場合
この場合の経済的利益の算定は、建物の時価の2分の1に敷地の時価の3分の1を加えた金額になります。
【戸建の建物からの立ち退き請求において、建物の時価相当額600万円、敷地の時価相当額6000万円の場合】
この場合は2300万円(600÷2+6000÷3=2300)が経済的な利益になります。したがって、

・着手金 124万円
・報酬金 248万円

但し、未払家賃については別途計算します。
●離婚の手続を依頼する場合
この場合の経済的な利益の算定は困難なので、直接次のように決められています。
【離婚の交渉あるいは調停事件を依頼する場合】
・着手金 30万円以上50万円以下
・報酬金 30万円以上50万円以下
【離婚の訴訟事件を依頼する場合】
・着手金 40万円以上60万円以下
・報酬金 40万円以上60万円以下
離婚に加えて財産分与、慰謝料、養育費等の財産給付を伴う場合は、その請求する金額に応じて着手金及び報酬が増加されます。
【離婚訴訟事件に財産分与、慰謝料等の財産給付を伴う場合】
・着手金 上記離婚訴訟事件に84万円を加算
・報酬金 上記離婚訴訟事件に168万円を加算
●刑事事件の弁護を依頼する場合
起訴前及び起訴後事案簡明な事件については、
・着手金    30万円以上50万円以下
・報酬金    起訴前で不起訴になったり、起訴後に刑の執行猶予がついた場合  30万円以上50万円以下
刑が減軽された場合には、その程度により10万円から30万円以下の金額

事案簡明な事件の例として
【飲酒運転で交通事故を起こして、事実関係を認めている場合】があります。
事案複雑な事件の例として
【事実関係を争っている事件】があります。
この場合には、着手金・報酬については別途ご相談させていただきます。
●自己破産の申立を依頼する場合
【会社の場合】

・着手金 50万円以上
(上限は資本金、資産、負債の額並びに関係人の数等の事件の規模により算定します。)
なお、裁判所に自己破産事件を申し立てるときに、予納金を納める必要があります。
【個人事業主の場合】

・着手金 50万円以上
(上限は資本金、資産、負債の額並びに関係人の数等の事件の規模により算定します。)

・報酬金 着手金相当額
(但し、一部弁済等の別途処理をした場合は増額することがあります)
なお、裁判所に自己破産事件を申し立てるときに、予納金を納める必要があります。
【個人の場合】
債務金額と債権者の数により次のようになります。

・着手金
a. 債務金額が1000万円以下の場合
  10社以下 20万円以内
  11社から15社まで 25万円以内
  16社以上 30万円以内
b. 債務金額が1000万円を超え、3000万円以下の場合
  債権者数にかかわらず、40万円以内
c. 債務金額が3000万円を超える場合
  債権者数にかかわらず、50万円以内
・報酬金 着手金相当額
(但し、一部弁済等の別途処理を要した場合は増額することがあります)
なお、裁判所に自己破産事件(同時廃止)を申し立てるときに、2万円の予納金(横浜地方裁判所管内の場合)を納める必要があります。

※破産管財人がつく場合の予納金は、申立人が法人か個人か、債務総額はいくらか等によって異なってきます。だいたいの目安は、
債務総額が5000万円未満であれば、法人は70万円 個人は50万円
債務総額が5000万円を超えた場合は1億円未満であれば、法人100万円、個人80万円
です。債務総額が増加するにつれて、予納金も増加しますので、詳しいことは弁護士にご確認下さい。
●多重債務の整理を依頼する場合
【会社ないし個人事業主の場合】
・着手金    50万円以上
(上限は資本金、資産、負債の額並びに関係人の数等の事件の規模により算定します。)
・報酬金    免除債権額、延払いによる利益及び企業継続の利益等依頼者の受けた経済的利益により算定します。
【個人の場合】
・着手金    2万円×債権者数 (最低額は5万円)
(但し、同一債権者でも別支店の場合は別債権者とします)
・報酬金    1債権者について2万円に、債権者主張の元金と和解金額との差額の1割相当額、交渉によって過払い金の返還を受けたときは、債権者主張の元金の1割相当額と過払い金の2割相当額の合計額
●遺産分割の手続を依頼する場合
【相続人が4人、時価1億2000万円の遺産分割事件で、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いがない場合】
この場合の経済的利益の額は、対象となる相続分の時価相当額
但し、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の3分の1の額
したがって、このケースでは、経済的利益の額は1000万円となり
・着手金 59万円
・報酬金 118万円
●遺言書の作成を依頼する場合
【時価評価額が2億円の遺産について遺言書を作成した場合】
・定型的な遺言書の場合   10万円以上20万円以下
・非定型的な遺言書の場合   300万円以下の部分は20万円、300万円を超える部分は、金額により0.1%から1%を加算
(但し、特に複雑または特殊な事情がある場合には別途協議によります)
したがって、このケースの場合の手数料は、定型的なものであれば最高で20万円、非定型的なもので98万円になります。また、公正証書遺言にする場合は、上記手数料に3万円を加算します。
●顧問契約について
 顧問契約を結んだ場合の弁護士の業務内容は、原則として一般的な法律相談です。
 但し、弁護士との協議により、
「法律関係の調査」、「契約書や内容証明郵便などの助言や作成」、「契約への立ち会い」、「書面鑑定」、「従業員の法律相談」、「株主総会の指導や立ち会い」、「講演」などの業務についても業務内容とすることができます。
また、個別の事件の弁護士費用についても、顧問契約を結んでいることを前提にご相談させていただきます。
 顧問契約の内容や顧問料については、協議のうえで決定しますが、報酬規程では以下のように定められています。
【事業を行っている場合】

・月額 5万円以上
(但し、事業の規模および内容、顧問業務の内容などを考慮して、その額を増減することができます)
【事業を行っていない場合】

・年額 6万円(月額5000円)以上
着手金、報酬金は横浜弁護士会報酬規程(抄)に基づいて計算しています。
(平成8年4月1日改正施行)
法的救済を必要としているのに、弁護士費用の支払が困難な方については、法律扶助制度がありますので、ご相談ください。